2週間にわたる着用テスト―和紙素材ロンT(試作品)の真価を検証

2週間にわたる着用テスト―和紙素材ロンT(試作品)の真価を検証

追記

本記事は2025年2月上旬に実施した着用テストの内容を記載しています。
その後、2025年~5月まで、暫時連続してテストを実施し、製品へのフィードバック(仕様変更等)を実施しております。

前回の記事では、和紙100%のアウトドアウェアを目指したロンT試作と、そのフィールドテストの概要をお伝えしました。
OFLAが挑戦しているのは、「自然とともに生きる未来」を実現するために、素材選びから製造方法、ライフサイクルに至るまで環境に配慮した一着を作ることです。
既存の記事でご紹介したとおり、和紙という伝統素材を活かしながらも、アウトドアアクティビティに耐えうる性能を確保するためのテストを重ねています。

このたび、前回の山岳地帯でのフィールドテストに加え、より身近なシチュエーションでの使い勝手や耐久性を詳しく検証すべく、2週間の集中着用テストを実施しました。
その内容を中間報告としてここに記載いたします。

※ 写真:14日間連続着用後の写真(洗濯後にアイロンをあててあります)
    試作品のため、ロゴ等の装飾はありません。

2週間集中着用テストの概要

  • 着用期間:2週間(14日間連続) 2月1日~14日

  • 実施シーン
      ・日常生活(デスクワーク、家事、料理、外出など)
      ・ロードランニング・トレイルランニング
      ・登山(冬用ジャケットの下に着用し、25キロほどの重量で腰ベルトのあるザックを背負い6時間行動)
      ・ロープワーク(急斜面を肩絡みで20mほど下降)

  • 洗濯回数:7回(3日連続着用後に洗濯したケースも含む)

  • 累計着用時間:約240時間(就寝時も含む場合あり)

このテストは、「日々の生活+アクティブシーン」でどれだけの快適性と耐久性を保てるのかを確認することを主な目的としています。
特に毎日使い続けることで生じる毛玉、ほつれ、型崩れ、ニオイなどがどの程度発生するかを注視しました。

※レイヤリングは試作品1枚のみ 

※レイヤリングは 試作品+ウールフリース+アウターシェル


テスト結果

①ほつれや毛玉ゼロの耐久性

2週間連続着用・7回の洗濯・3日連続着用という状況下でがほつれや毛玉は一切確認できませんでした。

要因と考察

  • 和紙繊維自体の強度
    原料となるマニラ麻(アバカ)はロープにも使われるほど耐久性に優れています。

  • 特殊な紡績・編立技術(和紙素材)
    麻繊維が短繊維同士で乱れにくく、撚りをかける工程で耐摩耗性を向上。

  • 洗濯によるダメージが少ない
    通常、摩擦や繰り返しの洗濯で生地表面に“毛羽立ち”や“毛玉”ができやすいですが、和紙繊維は毛羽立ちにくい構造。
    ※ネットに入れて洗濯することを推奨しますが、本テストではあえて擦れさせるためにネット無しで洗濯しています。

登山では、ザックが肩や背中をこすり続けるため、Tシャツの首元や肩部分が擦れて薄くなるケースが多いものの、今回のテストではその心配は杞憂でした。
敢えてクライミング用のロープを使って擦れを発生させましたが、その箇所が毛羽立つようなこともありませんでした。
(どのくらい懸垂下降を繰り返せば破れるのかはいつか試してみたいところです)
日常使いのみならず、実際の登山現場での摩擦を経ても耐久性が落ちないことを再確認できました。

※ 首や肩、袖・腰回りに一切の毛玉の発生がありませんでした。

②清潔感が保たれる抗菌防臭性

ランニングや登山のように汗をかくアクティビティを行うと、綿やポリエステル混紡の生地ではどうしても生乾き臭が気になることがあります。
しかし、今回の2週間テストではニオイがほとんど気にならないことも大きな発見でした。

  • 和紙素材の抗菌性
      ・和紙繊維に含まれる植物由来の抗菌成分が雑菌の繁殖を抑制
      ・頻繁に洗わなくても嫌なニオイがつきにくく、3日連続着用時でも快適に過ごせた

  • 洗濯後の乾きが早い
    多孔質構造により通気性が高く、他の天然繊維衣料に対しても優位な速乾性を確認

  • 洗濯回数を減らせるため、水資源や電力の節約につながります。

さらに、連続して着用する縦走や、着替えなどの荷物を極力減らしたいアルパインスタイルにも適していると言えます。

なお、臭いというのはかなり主観的なものであり、また人間の感覚の中で早々に馴れが発生してしまうものですので、以下に客観的な根拠を掲載いたします。

和紙素材の試験結果(抗菌性・消臭性)

JIS L1902:2015「菌液吸収法(定量試験)」に基づき評価されています。
その結果、加工無しで洗濯後も抗菌活性を維持することが確認されています。
ここでは綿、ウールを比較対象として試験結果を見てみたいと思います。

抗菌活性値(10回洗濯処理後)

  • 和紙:3.4

  • 綿:0.4

  • ウール:N/A(適用無し)

※未加工のウール繊維そのものには強い抗菌性や殺菌性は確認されておらず、その抗菌性能は加工内容に依存するため「N/A(適用無し)」としています。(ウール自体に雑菌の付着のしにくさや繁殖を抑える効果が備わっている)
出典:Antibacterial Properties of Non-Modified Wool, Determined and Discussed in Relation to ISO 20645:2004 Standard


抗菌活性値とは?

抗菌活性値は、菌の増殖をどれだけ抑制できるかを示す数値です。
一般的に「2.0以上」であれば抗菌効果があるとされ、「3.0以上」なら強い抗菌効果があると評価されます。
試験結果では、和紙は3.4を記録し、高い抗菌性能を持つこと、及び選択で効果が復活することが証明されました。

消臭性の評価では、アンモニアガスを用いた試験を実施し、和紙が優れた消臭効果を持つ ことが確認されました。

アンモニア減少率(10回洗濯処理後)

  • 和紙:78%

  • 綿:35%

  • ウール:90%~

この試験結果から、和紙は綿と比べて約2倍以上、ウールに近い消臭性能を持つことがわかります。

③オールシーズン対応の汎用性

テストの途中では、寒暖差の大きい時期に突入する日もあり、氷点下まで冷え込む状況もありました。
それでも、和紙素材特有の肌離れの良さと通気性がうまく作用し、快適さを保ってくれました。春夏のテストは未実施ですが、以下のようになるでしょう。

  • 秋冬:ウール系のアンダーウェアや防風用のシェルを重ね、適度に体温を保持しながらムレやベタつきを軽減。

  • 春夏:麻が原料の和紙糸ならではの通気性が、蒸れを防いでサラリとした着心地をキープ。(UVカット機能も備えているため、日差し避けになります)

このように、オールシーズンで活躍する汎用性の高さを大いに感じさせる結果となりました。

※野良仕事でも着用し日常での例外なく着用し続けました。

④【追記】残雪期の白馬にて (2025年5月)

GWの白馬主稜にて、ロンT試作品を肌着として着用してみました。陽が昇ると一気に気温があがり、雪の照り返しは強烈な暑さを感じさせる一方、稜線の強風は一気に身体を冷やします。和紙100%のロンTは非常に肌離れがよく速乾性もあり、STOP&GOをくり返すシチュエーションには持ってこいでした。帰路では照り返しの強い大雪渓で、ジャケットを脱いで1枚で行動していましたが、耐久性があるため、ザックの擦れも気になりませんでした。

和紙100%ロンTがもたらす新たな選択肢

前回の記事でもご紹介したように、OFLAは「和紙素材」を通じて天然素材の持続可能性と高い機能性を両立することを目指しています。
化学繊維を主軸とする選択肢が多い現代において、自然由来の素材だけでここまでの耐久性・抗菌防臭性・通気性を確保できるという事実は、サステナブルなモノづくりの可能性を大きく広げてくれるでしょう。
(なお、これは化学繊維の利点や貢献度を否定するわけではありません。)

「育てる服」という新しい楽しみ方

また、集中着用テストで再認識したのは、エイジングによる風合いの変化が楽しめること。
デニムやレザー製品を“育てる”ように、和紙のロンTも着込むほどに自分だけの一着に仕上がっていく感覚があります。
「長く使うほど味が出る」という点は、廃棄を前提としないネイチャーポジティブなプロダクトとしての魅力でもあります。

※ 擦れにより発生した色落ちがいい感じです。この試作品は製品リリース後も限界まで耐久性を試していきます。


今後の展望

さらなるテストと改良 

現現は、藍鼠色など日本の伝統色を意識した後染めにも取り組み、色の定着や耐光性のテストを進めています。(ベーシックな黒系色も用意しています)
また、着心地やシルエットに関しても、ランニングやクライミング時のフィット感、登山中の裾のめくれ上がりなど、細かな改善点を洗い出しながらブラッシュアップを継続中です。

※晴天、曇天、室内、光の当たり方で、「藍鼠」は青みがかったり、鼠色が強くなったりします

ECサイトオープンへ向けて → オープンしました

前回の記事でも告知しましたとおり、3月にECサイトをオープン予定ですオープンしました)。
リリース時には、本製品の最終版をラインナップとして公開いたします。
今回のフィールドテストで得られた知見を反映し、さらに快適で丈夫、そして環境にも配慮した製品として仕上げていきます。

生物多様性保護への寄付

OFLAは、自然とともに生きる未来を支えるため、今後、本製品については販売する製品の売上の一部をライチョウの研究・保護活動に寄付します(他の動植物、生息域の保護活動寄付も今後予定しております)。


最後に――着る人にも、地球にも優しい選択

2週間の着用テストを終えて改めて感じたのは、和紙100%という自然素材が持つポテンシャルの大きさです。
紙というと「もろい」「すぐ破れる」というイメージが先行しがちですが、登山やランニングなどのハードなシーンでもほつれや毛玉一つなく、快適性を損なうことなく活躍してくれました。
さらに職人による縫製、染色が施されたものがエイジングを楽しめる点は、アウトドア兼用のサステナブルファッションの新たな提案とも言えるでしょう。

OFLAが目指す「自然とともに生きる未来」を、まずはこの和紙100%ロンTを通じて多くの方に体感いただきたいと考えています。
使い捨てではなく、長く大切に着ることで環境負荷を減らしつつ、自然素材の風合いを楽しむ。そんな新しいウェアライフの提案を、これからも発信していきたいと思います。


▼ 参考リンク

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